怪竜大決戦 ★★☆

怪竜大決戦 [DVD]
怪竜大決戦
1966 スコープサイズ 85分
京都こども文化会館
脚本■伊上勝
撮影■わし尾元也 照明■長谷川武夫
美術■矢田精治 音楽■津島利章
特殊撮影 撮影■赤塚滋、国定玖仁男 美術■矢田精治
監督■山内鉄也

■「大魔神」と同じ年に、東映が対抗して製作した特撮大作。お話は、かなり古臭く、妖術使いが怪竜や大ガマに化身するのだが、特撮には力がこもっており、大映に負けじとブルーバック合成を大々的に導入している。松方弘樹がワンカットで首を刎ねられ、首と身体が別々に行動する場面は、こどもの頃にテレビで見て、トラウマになりました。今観るとブルーが抜けておらず、昔のテレビのクロマキー合成のようにマスクがずれまくっているのがご愛嬌。

■最大の見せ場は、なんといっても琵琶湖畔の城を舞台に展開する怪竜とガマの一騎打ちのミニチュアワークのもの凄さに尽きる。東映京都撮影所最大の11番ステージに城内と琵琶湖を構築しているのだが、フルショットで、そのスケールのでかさに驚く。東宝でもなかなかお目にかかれない大規模なミニチュアセットだ。しかも、ミニチュアの壊れ方も念入りで、おそらく「大魔神」に触発されたものだろう。瓦や石垣が丁寧に組み上げられている。ガマを城内から湖へ叩き落した怪竜はさらに手近な建物を破壊して、ガマの上にその破片を降り注がせるのだが、その一連の様子をワンカットの長回しで見せたアクションは、この映画の白眉だろう。なにしろ、「大魔神」では城の全景はミニチュアでは描かれないから、ステージの大きさの違いということだろうか。他にも大蜘蛛や大鷲も作り物で登場するが、大蜘蛛はさすがに足が動かず、糸ではなく白い泡を吹く。

NPO法人京都映画倶楽部主催の「ヤングシネマサマーフェスタ'08 SFXワールド」で観たのだが、ロビーには矢田精治デザイナー(NPO法人京都映画倶楽部事務局長)による本作のデザイン画が展示されており、直接ご本人から伺った話では、現場では特撮監督的な仕事まで担当されたそうだ。

■映画冒頭の燃える尾形城をバックに、琵琶湖が渦巻き、怪竜が登場する場面の仕掛けのデザイン画も展示されていたのだが、なんとこの場面は複数のアクションをワンカットで撮るという構想で、3つの大きさの違う輪を水中でタイミングをずらしながら回して波を起こして、何ものかが近づいてくる様子を描き、大きな洗濯機のような仕掛けで渦巻きを起こし、さらにその中からワイヤで怪竜のぬいぐるみを吊り上げるという大掛かりなものだ。渦巻きの仕掛けは、昔あった内側に仕切りのようなものが付いた灰皿を見ていて思いついたアイディアだそうだ。動力は小型トラックというのは、東宝の大プールと同様。当時の東映としては超大作予算だったが、予算オーバーでプロデューサーに怒られたとのこと。

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