ドラゴン・キングダム ★★★☆

THE FORBIDDEN KINGDOM
2008 スコープサイズ 105分
TOHOシネマズ岡南(SC8) 

■娯楽映画としてそこそこのところを狙って、その狙いを90%くらいの精度で完成させた本作、しかし映画としての、この楽しさは看過できないものだ。やたらと評判のいい、しかし異様に暗いと評される「ダークナイト」は未見だが、多分こちらのほうが見応えがあると思うぞ。

孫悟空と白髪魔女などの中華説話、伝承等を適当に混ぜ合わせて、今流行のファンタジーの器に盛り込めば、誰が書いてもこうなるという物語で、それ自体に新味は無いが、ジャッキー・チェンジェット・リーの競演という奇跡の配役と、大人のバランス感覚で難プロジェクトをまとめ上げた監督のロブ・ミンコフの腕のよさで、なんだか夢を観ているような心持に誘い込む秀作である。堺正章の「西遊記」を見て育った世代は、絶対に見逃すべきではない。

アメリカ資本だが、撮影は中国で行われ、VFXはなぜか韓国のVFX工房が中心として編成されているという中規模作品だが、デジタルマット合成を中心としたVFXのレベルも案外高く、安心して観ていられる。特に、天界での孫悟空の大暴れをワイヤーワークと長回しのスタイルで描き出したシーンが冒頭に置かれており、しかも孫悟空ジェット・リーが演じているので、もうそれだけで何か有り難い気持ちになってくる。

■実際、ジャッキーもジェット・リーもアクション俳優としての盛りは過ぎているが、ロブ・ミンコフは、不必要に短いカット割を廃し、ワイヤーリムーバルやブルーバック合成は使用するものの、アクションそのものをなるべく生で提供しようとするスタイルを堅持しており、なかなかものの分かった男である。アクションの見せ場の作り方もそつが無く、ラストのジェイド将軍との大乱戦に、ジャッキー・チェンが戸板に乗せられて運び込まれる場面など傑作といっていい。

■オタクなアメリカの若者をジャッキーとジェット・リーが二人寄ってたかってカンフーの名人に仕上げようとする趣向も贅沢なものだが、そのキャラクターの対比をよく生かした演出は監督を褒めてあげるべきだ。おそらく、ジャッキー・チェンジェット・リーの競演という企画は香港では成立しえず、したとしてもかなり内容的にバランスを欠いたものになることが容易に予想されるが、本作はそういった心配を全て吹き飛ばすだけの耐性あるアクション映画に仕上がっており、「キングコング対ゴジラ」や「座頭市と用心棒」などといった企画もの映画と比べても、より一段高いレベルに到達している。

翡翠帝(ワン・デシュン)が滝沢修にそっくりというのも、なんだかありがたい気がしますな。

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