わが魂は輝く水なり 源平北越流誌 ★☆

わが魂は輝く水なり 源平北越流誌
NHK教育 芸術劇場 シアターコクーン公演(2008)
作■清水邦夫、演出■蜷川幸雄 美術■中越司 照明■大島祐夫
出演■野村萬斎尾上菊五郎坂東亀三郎秋山菜津子津嘉山正種邑野みあ

■これは困った作品で、どこが名作なのか全く理解できない。源平の合戦の時代設定のなかで、斎藤実盛を主人公とし、ひとつの理想郷であった木曾義仲軍内に芽生える狂気の中に、連合赤軍内ゲバによる自滅を重ね合わせているのだが、とにかく絶叫演技が見苦しく、特に邑野みあなんて半素人レベルで、観るに耐えない。

■女武将巴御前に永山洋子を重ね合わせると言う発想には劇作家のセンスを感じさせるが、秋山菜津子の演技には感心しないし、配役に無理がある。もう少し美的にカリスマ性のある女優でなければ説得力が無い。70年代の初演時には劇団民藝で演じられたそうで、この役を奈良岡朋子が演じたと言う。それならば確かに納得できるのだ。狂気の劇的分析や狂気そのもののありようを解剖して見せてくれるのかと思えば、そうでもなく、なにか全てが中途半端で、ちぐはぐだ。

■主演の野村萬斎もちっともいいところが無く、映画で「陰陽師」をやっているほうがよほど似合っている。名将の老いもテーマになっているのだが、ちっとも胸に迫らない。

■歌舞伎とかミュージカルといった様式が、音楽の力を借りることで演劇の完成形になったということが逆に確認できた次第で、本作などもいっそ音楽的な処理を施せば、力任せの絶叫演技も、多少美的に構成することができるのではないか。

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