運命じゃない人 ★★★☆

運命じゃない人
運命じゃない人
2005 ヴィスタサイズ 98分
DVD 
脚本■内田けんじ
撮影■井上恵一郎 照明■鳥越正夫
美術■黒須康雄 音楽■石橋光晴
監督■内田けんじ

■いかにも若者が好きそうなパズル的でトリッキーな語り口で、ある一日のスリリングな事件の関係者の姿を描き出した異色作。しかし、どう考えてもやる気の感じられないタイトルで損をしていると思うぞ。第14回PFFスカラシップ作品である。
■第58回カンヌ国際映画祭批評家週間で4冠に輝いたという売りなので、調べてみると、フランス作家協会賞、最優秀ヤング批評家賞、最優秀ドイツ批評家賞 、鉄道賞というもので、確かに若手作家の派手な振る舞いに好意的なカンヌならではという印象だが、実際よくできた脚本なので、そのおもしろさは世界的な普遍性を持っているということだろう。
■最新作の「アフタースクール」に比べると、ストーリーテリングのギミックが多めに用意されており、時間をかけて脚本を練り上げたことがよくわかる。しかし、その物語の技巧に対して、映像表現は非常に大人しく、派手な画作りを避けている点が内田けんじという監督の美点で、アニメ的な、あるいはグラフィックな画作りに腐心してしまいがちな若手監督のなかでは、例外的に渋い画作りのできる演出家だ。「アフタースクール」でも、地味すぎる印象だったが、このまま成熟すれば、日本映画史上でもかなり凄い異色作家になりそうな予感がある。
■「アフタースクール」でも昔の学友の友情を素直に賞賛していた内田けんじだが、本作でもゲイ関係かと思ったら、そうでもなく、中学時代の友情をそのまま信じようとする姿勢に、若干の違和感を感じないではない。
■製作はぴあ、日活ほか、制作は?

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