AIKI ★★★☆

AIKI
2002 ヴィスタサイズ 119分
BS2録画
脚本■天願大介
撮影■李以須 照明■李龍禹、石丸隆一
美術■稲垣尚夫 音楽■めいなCo.
監督■天願大介

■交通事故で半身不随になり、車椅子の生活を余儀なくされた青年(加藤晴彦)は自暴自棄に陥り、自殺を考え、酒に溺れてゆくが、テキ屋のオヤジと知り合い、裏カジノのギャンブラーと自称する謎の女(ともさかりえ)と出合って人生に対する向き合い方を考え直すようになる。その矢先、古武術大東流合気柔術に衝撃を受けた彼は、師匠(石橋凌)に弟子入りすることを決意する・・・

■前半は半身不随の生活を呪いながら、人生はクソだと絶望する様を、セックスの問題や排便の問題も適度に盛り込みながら、障害者としての日常の始まりをリアルに綴り、合気柔術出合ってからの後半は一気に武道映画に変ずるという異色作にして傑作。デンマークに実在する車椅子の合気柔術家をモデルにしているらしい。

黒沢清の「回路」ではちっとも良いと思わなかった加藤晴彦が素晴らしく、脇役の火野正平石橋凌菅田俊といったアウトローな面々が実にいい味を出している。

■それにしても、大東流合気柔術という古武術インパクトは絶大で、そのままリアルなものとして受け入れるには気が引けるが、石橋凌の演技と説明ぶりの説得力で、少なくとも映画としては成立している。クライマックスの菅田俊の登場はいかにも商業主義的だが、娯楽映画としては必要な措置であるし、実際非常に劇的な見せ場となっている。菅田俊の熱演も清々しく、アクション映画としてもレベルが高い。

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