さよならみどりちゃん
2005 ヴィスタサイズ 96分
DVD
原作■南Q太 脚本■渡辺千穂
撮影■池内義浩 照明■平井元
美術■須坂文昭 音楽■遠藤浩二
監督■古厩智之
■古厩智之による青春映画の傑作。世界中のどこに出しても恥ずかしくない日本映画の傑作である。allcinemaによると”80年代の名曲をテーマにしたBS-iの恋愛ドラマ「恋する日曜日」の映画バージョンとして製作された”映画だという。確かに超低予算である。
■とにかく星野真里が捨て身の演技で悪い男に振り回される女心の愚かさと可愛らしさを余すところ無く表現するし、合い方の西島秀俊は不気味なほどにまったくでたらめな生き方で女たちと関係してゆくという、現実に身の回りにいたらドツキたくなるほどにダメな男を、完璧に演じる。昔、日本映画界には森雅之という系統の似たキャラクターの名優がいて、二枚目とは色恋以外はこれほどまでにダメな優柔不断な男であるということを完璧な演技で示してきたわけだが、西島秀俊は現代の森雅之であろう。
■物語の世界観は日活ロマンポルノの伝統を受け継いでおり、絡みの場面を増やせば、ほとんどそのままロマンポルノである。ぐずぐずした男女関係を描くのは、日本映画の伝統芸の世界で、ハリウッド映画にはその湿度の高さはなかなか真似できない有利なジャンルなのだが、古厩智之の中にもその遺伝子が息づいていたようだ。
■唯一残念なのはテーマ曲の荒井由美の「14番目の月」って、そんなに有名な歌だったか?ということ。結構長く生きてますが、正直いって、聞いたことありません。ラストを飾る楽曲だけに、あまりにマイナーなのは、困る。本当は★★★★でもよかったのだが、楽曲の弱さはマイナス要因だ。あと、今思い出したが、佐々木すみ江の見せ場が無いのは如何なものか。現実世界で考えても、あの年代のオバサンであれば、何らかの有意義なアドバイスを星野真里に与えないほうが不自然というものだ。脚本段階では存在したが、尺の都合でカットされたというパターンだろうか。
■製作はBS−i、制作はキリシマ1945(何故?)。