ダーク・ウォーター ★★☆

DARK WATER
2004　スコープサイズ 105分
DVD

　物語は想像以上に中田秀夫のオリジナル版映画「仄暗い水の底から」に忠実なのだが、何しろ根本になる原作のお話自体が非常につまらない怪異譚なので、どうしてもドラマ的には単調になってしまう。正直なところ同転んでも３０分の短編にしかならない原作なのだ。
　監督のウォルター・サレスはホラー映画に何の思い入れも無いようで、怪異描写については全く素人。ただ、役者の演技を丁寧に紡いでいく正統派の演出で、観ていて苦痛ではないがそれ以上のものでもない。
　秀逸なのはアフォンソ・ビアトのキャメラとロケ撮影で、雨に降り込められるフランクリン島という設定の憂鬱さが最大の見所だが、演出にスーパーナチュラルなものに対する感性が不足しているせいで、歩留まりが悪い。アフォンソ・ビアトというキャメラマン、 「アントニオ・ダス・モルテス」を撮り、「オール・アバウト・マイ・マザー」 も撮るという凄いおっさん（おじいさん？）である。