ULTRASEVEN X #2 CODENAME"R"

 シリーズ第2話は脚本・太田愛、監督・八木毅のコンビで、一見80年代の低予算深夜テレビという風情なのだが、コードネームが”R”といえば、日本映画史では大島渚小松川事件から着想した「絞死刑」の在日韓国人死刑囚Rを示唆していることは明らかであり、船に乗ってユートピアへ向かうというモチーフは1959年から実に1984年まで25年間続いたという北朝鮮帰国事業をイメージしていることも容易に想像がつくだろう。ユートピアは今現在暮らしているこの世界にも、どこか彼岸の地にも存在しないことを寓話として示している苦い作品だ。

 作品世界としての古臭さは、SF的ギミックの陳腐さだけではなく、現実世界で過去に発生した象徴的事件を下敷きにして、未来世界の人間に対する寓意を造形している点にも起因しているのかもしれない。

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