MATCH POINT
2005 ヴィスタサイズ 124分
DVD
テニス選手を廃業して英国上流階級の娘と結婚し、義父の会社で重役に就任した青年(ジョナサン・リス・マイヤーズ)だが、義理の兄の元婚約者で女優志願の娘(スカーレット・ヨハンソン)の妖しい色香に迷わされ、ずぶずぶと不倫関係を重ねてゆく。不妊治療を受ける妻と裏腹に妊娠した愛人は青年に激しく詰め寄るのだが・・・
ウディ・アレンがニューヨークを離れてイギリスで、ある意味で雇われ監督として脚本と演出を担当した作品だが、これまでとは異なるキャスト、スタッフのおかげで新鮮な空気が流れ込んでいる。「罪と罰」や「陽のあたる場所」など往年のハリウッド映画のエッセンスを自在に取り込んで卓抜した話術を見せ、大人のサスペンスとして完成度も高い。まさに円熟の境地というところだ。冒頭の場面と、主人公が証拠品を投げ捨てる後半の場面が呼応して、運命に左右される人生の皮肉を浮かび上がらせるところなど、名人芸といった巧さ。アイルランド出身の主人公のハングリーさを強く打ち出すと野暮になるのでさらっと流してしまうあたりが大人映画だ。
主演のジョナサン・リス・マイヤーズも頑張っているのだが、スカーレット・ヨハンソンの放つスターの輝くが大きすぎて、結局は彼女の映画という印象になってしまう。結果的にはあまり大きな役柄ではないのだが。