ダイ・ハード4.0 ★★☆

DIE HARD 4.0
2007 スコープサイズ 129分
MOVIX京都


 はなから何も期待はしていなかったが、予想通りのアバウトな物語、新味の無いサイバーテロ、物理的アクションに頼ったアクション設定と、あまりの陳腐さに眠気を抑えられなかったアクション大作。

 ブルース・ウィリスは、前作「16ブロック」が予想外の傑作アクション映画だったので、その燻し銀の男ぶりを期待していたのだが、極めてステロタイプな役柄をそのまま演じているだけで、演技的な見せ場も無い。「16ブロック」では、ベテラン刑事の頓知で窮地を次々と脱してゆく作劇が抜群に巧かったのだが、本作ではそうした劇的醍醐味は皆無だ。

 監督のレン・ワイズマンは「アンダーワールド」でアクション演出と耽美性で良いところを見せたが、2作目では早くも息切れし、本作でも前作の悪い部分をそのまま踏襲してしまっている。

 サイバーテロの描写については、日本で押井守が10年以上前に描いてみせたレベルに遠く及ばず、正直言って、押井映画のパロディであったフジテレビ映画「交渉人真下正義」のほうがよほどサスペンスとユーモアに溢れていたではないか。

 ということで、到底満足などできない出来栄えの大味アクション映画だが、クライマックスの巨大トレーラーと最新鋭戦闘機のありえないバカチェイスの場面は、なかなかの見せ場なので、メイキングは必見といっておこう。どこまでがミニチュアでどこからがCGなのか。映画の内容自体より、その制作プロセスのほうが刺激的だ。

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