オスカーとルシンダ ★★★

OSCAR AND LUCINDA
1997 スコープサイズ 133分
BS2録画


オスカーとルシンダ (初回限定生産) [DVD]
 ビクトリア朝時代、牧師オスカー(レイフ・ファインズ)はオーストラリアへ渡る船内でルシンダ(ケイト・ブランシェット)という女性と知り合った。二人とも大のギャンブル好きであることが分かり、たちまち意気投合する。だが、彼女が後援者のハセットに未練を残していると勘ぐったオスカーは、ハセットの左遷されたオーストラリアの奥地にガラスの教会を運ぶという冒険に挑戦するが・・・

 若き日のレイフ・ファインズケイト・ブランシェットが競演したオーストラリアとアメリカの合作による文芸映画。監督は女流監督のジリアン・アームストロング。ナレーションは、ジェフリー・ラッシュという豪華な配役。

 いったいどんな物語に集約するのか、途中まで予断を許さないストーリーラインを持つ映画で、実際のところ前半の主役二人の生い立ちをもっと刈り込んで、互いにギャンブル好きという個性を中盤でじっくりと描いて、後半1/3のオーストラリア奥地の探検行に焦点を合わせればアクション映画に接近することもできたと思われるし、観客にとっても理解しやすい映画になったのではないか。原作がそういう単純な小説ではないだろうから、改悪と呼ばれるのかもしれないが。正直なところ、この映画だけでは、物語に込められた意味付けを十分に理解することはできないのではないか。原作と比較することで、やっと作者の意図が判明するのではないか。

 10年前のレイフ・ファインズは柔弱なイメージで、色男風の役作りではない。一方のケイトも、今と比べるとかなり顔の輪郭などがふっくらしており、初々しさが残っている。決して悪い映画ではないが、両者にとって演技的に卓抜したものでないだろう。

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