ベルベット・レイン ★★★

江湖
2004　ヴィスタサイズ 85分
DVD

　香港黒社会の大ボスの暗殺に名乗りを上げる２人の若者は拳銃を手に入れると夜の街に繰り出す。一方、大ボスホン（アンディ・ラウ）は相棒のレフティ（ジャッキー・チュン）の敵対勢力を根絶やしにせずにはおられない残虐な性癖に危機感を抱いていた・・・
　香港の若手（？）監督ウォン・ジンポーのデビュー作らしく、いかにも若手らしく、音楽と映像美重視の派手な映像表現が顕著である。叙述トリックを用いたストーリーラインは、非常によくできており、ジョニー・トーあたりが映画化していれば傑作になっていたかもしれないが、演技や物語よりも、音楽に載せて映像を流してゆくスタイルのせいで、せっかくのドラマ性が希薄になってしまったのは、実に勿体無い。
　 ショーン・ユーとエディソン・チャンの二人の若者の弾けた若さもいいし、アンディとジャッキー・チュンの大人世代の苦悩も悪くない。クライマックスの雨のなかの殺し合いには、「マトリックス」などの影響も顕著だが、ユニークなビジュアルを創り出そうとする意欲は感じられる。
　新鋭ウォン・ジンポーは、もっと、役者の演技に寄り添ったオーソドックスな映像作りを学ぶべきだろう。