ブラッド・ダイヤモンド★★★☆

BLOOD DIAMONDI
2007 スコープサイズ143分
ユナイテッドシネマ大津(SC5)


 90年代末、内戦下のシェラレオネで妻子を反政府軍RUFに連れ去られた漁師(ジャイモン・フンスー)は大粒のピンク・ダイヤモンドを発見して地中に隠す。刑務所で知り合ったダイヤの密輸商(ディカプリオ)は家族の救出を条件にダイヤモンドを探し出すことを持ち掛ける。さらに女ジャーナリスト(ジェニファー・コネリー)を巻き込んで内戦状態のアフリカで危険な探索行に出た一行だが、その頃、漁師の息子はRUFによって少年兵に改造されていた・・・

 近年流行のアフリカ物映画で、今回はアクション映画仕立てで、冒険映画としてもきちんと出来ているが、アフリカの内戦状態の残虐行為や少年兵の育成という衝撃的な事実を巧みに盛り込みながら、娯楽映画の枠を踏みはずさない程度のメッセージ性をも盛り込んだ佳作。エドワード・ズウィックという監督、クライマックスで謳いあげすぎてしまう欠点があったが、今回は比較的控えめで、それでもラストでは主人公を一段高い壇上に引き出してしまうのだが、延々と実もふたもない演説を見せることはなかったので、許せる範囲に踏みとどまったといえるだろう。

 本作の主人公はジャイモン・スンフーで、彼が離れ離れになった家族を捜し求める物語が主筋。アフリカ生まれの白人という珍しい役柄を演じたディカプリオは本来脇役だが、アフリカの過酷過ぎる現実のなかで汚濁にまみれた生き方を悔い改めてゆくあたりが後半の見せ場になる。ただ、本来はもっと地味で渋い役者が演じるべき役柄だろう。人に生来の善悪はなく、行動によって決まるのだと語る黒人教師が重要な脇役として登場し、少年兵との皮肉な遭遇がアフリカの抱える現実の混濁したあり様を象徴している。

 ラストは大方の予想通りの展開で、漁師の家族のドラマへの突っ込み方はやはり甘口の印象を残すのだが、十分にウェルメイドな作品だ。大佐を演じる アーノルド・ヴォスルーは、「ハムナプトラ」のあのイムホテップの人ですな。

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