プレステージ ★★★☆

THE PRESTIGE
2007 スコープサイズ 130分
TOHOシネマズ二条(SC3)


 19世紀末のロンドン。“グレート・ダントン”ことアンジャー(ヒュー・ジャックマン)と、“ザ・プロフェッサー”ことボーデン(クリスチャン・ベイル)は、修業時代から互いをライバルとしてマジックの腕を競い合っていた。ある日、アンジャーの妻が公演中に水中脱出に失敗して死亡する。ボーデンを怨んだアンジャーはボーデンの公演に乗り込んで奇術を失敗に導く。二人の間の確執は激化し、ボーデンが開発した瞬間移動の大技を巡って、起死回生を期するアンジャーは、謎の発明家ニコラ・テスラデヴィッド・ボウイ)に接触する・・・

 まったく何の予備知識も無く観たのだが、所謂ラストのどんでん返しなるものは特に予想を上回るものではない。長い原作を2時間程度に圧縮したため、物語は一気呵成に突き進み、メリハリの無い早足で映画は展開する。あの渋い佳作「インソムニア」を撮ったクリストファー・ノーランとはおもえないほど”間”を欠いた編集である。しかし、奇術師同士の過激な確執が、ニコラ・テスラテスラコイルが登場するあたりから、一気に擬似科学の要素が流れ込んでくるところがユニークで刺激的だ。

 ニコラ・テスラを演じるのがデヴィッド・ボウイというのは言われなくては気がつかない微妙な配役だが、助手役をキング・コングアンディ・サーキスが怪しく演じているあたりの配役の妙は怪奇映画的雰囲気が濃厚で絶妙と言えよう。

 SFミステリーの異色作といった趣で、その無茶なSF的趣向の部分を大いに堪能させてもらった。

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