帰ってきた怪獣使い

愈々今週末にウルトラマンメビウス怪獣使いの遺産」が放映される。直木賞作家朱川湊人(未だ小説は読んだ事がないのだ)がウルトラシリーズ随一の異色作にして傑作エピソード「怪獣使いと少年」の続編を書くという空前絶後のプロジェクトだ。
 誰かと勘ぐった監督は八木毅円谷プロの社員監督兼プロデューサーとして、「ウルトラマンマックス」では三池崇史を監督に起用して辣腕をふるい、監督としてもいかにも若手監督らしい映像センスを見せる期待のルーキーだ。
 「怪獣使いと少年」は、在日韓国・朝鮮人や沖縄人に止まらず、日本の風土に根付いた、異質な存在に対する差別意識を真正面から抉り出した苛烈な物語だが、幼少期に観て意味も良くわからないまま、篠つく雨やボロボロに骨の折れた雨傘、廃屋と包帯、泥と米、そして河原に穿たれた深い穴といったイメージの連鎖が、名状しがたい原体験として血肉に刷り込まれてしまった人間は、同世代には少なくないはずだ。
 もし、あの少年が35年の時を生き抜いて再び画面に登場するとしたら、それだけで私の中で何かが音を立てて崩れ落ちてしまうのではないかと、密かに畏れているのだ。