野良猫 ★★★

野良猫
1958 スコープサイズ 92分
高槻松竹セントラル
原作■茂木草介 脚本■木村恵吾、藤本義一、倉田順介
撮影■岡崎宏三 照明■下村一夫
美術■近藤司 音楽■真鍋理一郎
監督■木村恵吾


 赤線が消滅し、釜が崎に流れてきた女(乙羽信子)は、男達に騙されて身体を弄ばれるうち、逃げ出してきた妓楼の主人(森繁久彌)と再会し、結婚しようとするが、隣家の男(田崎潤)に唆されて主人が女を売り飛ばそうかと迷っていることを知ると、心中をもちかける・・・
 当時、朝日放送の“ABC劇場”で放送された茂木草介原作「飛田附近」の映画化ということで、宝塚映画撮影所に釜が崎付近をセットで再現した異色作だが、屋外セットは平板で、低予算映画の限界を露呈している。反面、終盤を引き立てる線路付近の美術セットは狙いどころを凝集した、小さいながら映画のセットらしいよくできたセットである。
 映画としては、ケッタイなキャラクターたちが入れ替わり立ち代り登場しては芸を披露して退場してゆく前半が生き生きしており、後半は森繁の達者すぎるイケイケの演技が鼻についてくる。前半では女子レスリングの場面にダイマル・ラケットが登場し、ミヤコ蝶々南都雄二のコンビ(当然現役時代は知りません)が場をさらい、食堂では西川ヒノデ(大映映画で時々見たが、吉本の芸人らしい)と芦屋小雁(気づかなかった!)が森繁に絡んでケッタイな笑いを振りまく。お笑い芸人の場面はカットを割らずに1カットで一気に見せるのは森一生のコメディ時代劇とも共通しているが、実際ライブな雰囲気が定着しており、かなり嬉しい。
 ラストも実に呆気なく、風俗映画としてもまとまりに欠けるが、宝塚映画製作による関西ものという地の利もあり、ひとつの珍品と呼ぶべき作品だろう。

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