女賭博師尼寺開帳 ★★★

女賭博師尼寺開帳

女賭博師尼寺開帳

  • メディア: Prime Video

女賭博師尼寺開帳
1968 スコープサイズ
KBS京都録画
脚本■高岩 肇
撮影■中川芳久 照明■泉 正蔵
美術■後藤岱二郎 音楽■鏑木 創
監督■田中重雄


 お馴染み(?)女賭博師シリーズの8作目。
 イカサマ賽にとりつかれた父(大坂志郎)に手を焼きながら壺を振る銀子(江波杏子)はイカサマを暴かれて東京を追われ、下田で古い恩人(志村喬)の危機を救うため、勝負の賭場に出ることに。賭場の開かれた尼寺には、かつて銀子に追い落とされた梨江(三條魔子)が待ち受けていた・・・
 シリーズも確実に安定路線に乗り、お馴染みの三條魔子がお色気担当で江波と凌ぎを削る対決を見せる。組長に逆らって落とし穴(!)へ落とされ、しどけない姿に欲情した組員(千波丈太郎)に犯される場面が時代を感じさせるえげつなさ。もちろん、表現自体は大人しいものだが。この二人が腐れ縁で、下田の尼寺に逼塞している設定が無理やりながら、日陰者の意地を見せて楽しませてくれる。ただ、三條魔子では、江波の貫禄に到底太刀打ちできないのだが。
 江波の兄に川津祐介が扮するが、いいところに特別出演的に登場するだけで、本格的な江波との絡みが無いのが勿体ない。三條魔子もまだ決着は付いてないよと言い残して退場することと考え合わせると、続編の存在をうかがわせるが、第9作は果たして連続しているのだろうか。
 西の宮川、東の中川と称された中川芳久のキャメラが重厚且つ清新で、この時代にしては珍しく安易なズームの使用を廃した落ち着いた構図を見せてくれる。それだけで、映画らしい映画を見た満足感を味わわせてくれる。
 今回は、下田の風景や、尼寺の舞台設定が時代劇的なムードを強調している。ちなみに、この映画、当時の東映任侠映画と違って、基本的に現代劇なのだ。コント55号と唄子啓介の登場もベタな笑いを振りまいて、和む、和む。カットされてなくて良かった・・・


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