女スリ(江波杏子)の指技が胴師(伊藤雄之助)の目に留まり、壷振りにスカウトされるが、女はスリの元締めにリンチされ、視力を失ってゆく。彼女の登場で賭場にお呼びのかからなくなった名人(内藤武敏)は逆恨みし、師匠の胴師を刺し、彼女に挑戦するが・・・
女賭博師シリーズの5作目で、監督はシリーズ初登板の井上芳夫。キャストが豪華で、田中邦衛、志村喬らが絡む。
1作目の「女の賭場」などに比べると、照明は明るく、低予算映画だが、美術の質感とこってりとした色調に大映独特のコクがあるため、映画らしさを堪能することができる。この質感はネガからテレシネしたDVDでは到底味わえないものだ。もっとも、このシリーズはまだDVD化されていないが。
伊藤雄之助がまじめに演じているのが楽しいが、田中邦衛も志村喬も類型的なキャラクターでもったいない配役だ。
眼科医を演じる伊藤孝雄との出会い(再会?)が最高に楽しく、大爆笑。これぞ娯楽映画のご都合主義の愉しさだ。
撮影は「女の賭場」の小林節雄のほうが上だと思うが、中川芳久もロケ撮影でシネスコならではの美的構図を披露して、奇抜ではないが、60年代ならではのカッコよさを発揮している。
関東女賭博師 江波杏子 主演 女賭博師シリーズ FYK-185-ON [DVD]
- 発売日: 2012/07/31
- メディア: DVD