女賭博師絶縁状 ★★★

女賭博師絶縁状 [DVD]

女賭博師絶縁状 [DVD]

  • 発売日: 2017/08/25
  • メディア: DVD

女賭博師絶縁状
1968 スコープサイズ カット版
KBS京都録画
脚本■長谷川公之
撮影■喜多崎晃 照明■上原正一
美術■後藤岱二郎 音楽■鏑木 創
監督■田中重雄

 女賭博師シリーズ第9弾。滝川(成田三樹夫)に敗退した銀子(江波杏子)は、疾風の辰(島田正吾)に弟子入りし腕を上げるが、弟(平泉征)の不始末を償うため、あくどい親分横尾(安部徹)の賭場に上がることになり、辰から破門されてしまう。一方、銀子にイカサマ賭博を見破られて恨みを抱くバーのママ(長谷川待子)が横尾に協力して銀子をおとしいれようとするが、彼女は辰の捨てた娘だった・・・
 新国劇の重鎮島田正吾を重要な脇役に迎え、独特の台詞回しに芸の重みを感じさせる。「勝負は相手に勝つんじゃねえ。自分自身に勝つんだ。心に迷いが出たときは、心のなかでお題目の太鼓を鳴らすんだ」という最後の台詞が泣かせる。
 ただ、大映末期の昭和43年の映画なので、明らかにセットの規模も縮小され、撮影も照明も緻密さを欠くし、中川芳久のような鋭さを欠いている。
 本作の最大の見せ場は、島田正吾と長谷川待子の親子の名乗りの部分のはずだのだが、島田正吾はいいとして、長谷川待子は力量不足で、せっかくの練った趣向が十分に発揮されていない。本来なら役得といえる役柄なのだが、人間像が十分に演じられていないのだ。銀子を庇って命を落とすラストの演出もあまりに段取りに流れて、失笑を誘う。せっかくの脚本上の大時代な父娘のドラマなのだから、ちゃんと情感を盛り立ててもらわないと困る。


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