ロード・オブ・ウォー★★★☆

LORD OF WAR
2005 スコープサイズ 122分
TOHOシネマズ二条(SC3)


 ウクライナからの移民ユーリ(N・ケイジ)は弟とともに武器商人となり、才能を開花させて全世界に武器を売り歩くが、インターポールの捜査官(イーサン・ホーク)の執拗な追求が迫り・・・
 あの「ガタカ」の創造者アンドリュー・ニコルが監督、脚本を務める最新作で、社会派娯楽映画のお手本ともいえる皮肉の効いた辛口な映画に仕上がっている。実在の武器商人から取材した事実に基づいて、シニカルなユーモアを盛り込んだ作者の技巧はさすがといっていい。
 ラストに至って、アメリカだけでなく、世界の大国を直接的に批判する、実にストレートなメッセージ映画なのだが、N・ケイジの力の抜けた演技と画作りの巧みさで、リアリティよりも、一歩引いた冷静な視点を確保できたことが、この映画の勝因だろう。
 対するイーサン・ホークは「ガタカ」以来の盟友だが、少年の面影を残した正義漢を冷静に演じて、その清潔さがこの映画に幅を与えている。
 アフリカの原野に伸びる一本道に緊急着陸した輸送機が一夜のうちに丸裸に剥かれてゆく場面は名シーンだし、戦争犠牲者の大半は銃による死者だ、というE・ホークの台詞の重みがずしりと肺腑を抉る。

© 1998-2024 まり☆こうじ