意欲作だけど、竜頭蛇尾な結末に絶句!NHK放送100年特集ドラマ『火星の女王』

■『火星の女王』 ★★☆
原作:小川哲 脚本:吉田玲子 音楽:坂東祐大、yuma yamaguchi VFXスーパーバイザー:尾上克郎 演出:西村武五郎、川上剛

■火星開発時代、火星社会は階層化していて、タグレスのアングラ住民たちは地球帰還を命じられるが、22年前の宇宙港事件に絡んで、何か裏がありそうだ。その頃、火星と地球で謎の暗黒物体が発見される。。。

■純SF小説のドラマ化で、国際色豊かな配役も凄いし、映像技術も立派なもの。日本側の配役は、なぜか端役まで豪華キャストで、松岡茉優とか鈴木亮平は何のために出てきたの?吉岡秀隆はまるで「令和の志村喬」で、ジャンル映画に欠かせない役者になってしまった。でも、支えになっているから立派なものです。小声でボソボソ喋っているようで、ちゃんと滑舌がいいのも、映画、ドラマ向けの資質でしょうね。

■しかし!ーー原作に引きずられたのか、ドラマ化の旨味がなくて、もっと感情を揺さぶってくれないと困る。特にアクション場面がいくつもあるのに、ちっとも燃えないし、映えない。特に宇宙港事件の惨劇は、ちゃんと撮ってくれないと困る。深作欣二が『柳生一族の陰謀』とか『宇宙からのメッセージ』で簡潔に活劇で感情移入させる演出の好例を示しているのにだなあ。。。これはNHKドラマの伝統的な宿痾で、アクション演出が下手なのだ。ここは東映メソッドで、もっと叩き込まないといけない。吉田玲子はアニメでいい仕事を残しているのに、なぜかこのところ冴えがなくて、NHKでは『17才の帝国』も意欲作だったけど尻すぼみで終わってしまった。あれは、勿体なかったなあ。 
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■終盤の暗黒物質を巡る展開がとにかく肩透かしで、まさに竜頭蛇尾な結論なのが辛い。原作がそうなのだろうけど、このアイディアで本当に長編書いたのか?凄いなあ。え…超大作のクライマックスがこれですか?これだけ?と狐につままれた気分だ。

■日本人キャストの無駄遣い風味がなんとも不可思議で、菅田将暉の精彩のなさは、意図的なものだろう。完全にオタク風味の役作りで、『さよならジュピター』のマーク・パンサーとか三浦友和を想起するよね。杉田二郎の代わりに、UAが歌を歌います。
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■秀逸だったのは火星憲兵隊隊長の ローレライ・マッケルヴェイという人で、これはビジュアル一発勝負が見事に決まった名配役だった。何も言わなくても、見た目だけで説得力があるから、見事なもの。ある意味、映像メディアはこれでいいのですよ。

参考

だって、中国映画はこのスケール感ですからね!気宇壮大!見ている世界が違う。いまや日本にこの構想力はない。昔はあったのに!
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