基本情報
ガメラ対大魔獣ジャイガー ★★☆
1970 スコープサイズ 83分 @アマプラ
企画:仲野和正 脚本:高橋二三 撮影:喜多崎晃 照明:泉正蔵 美術:山口煕 音楽:菊池俊輔 <特殊撮影スタッフ> 撮影:金子友三 特撮合成:藤井和文 照明:石森七郎 美術:矢野友久 操演:田中実 監督:湯浅憲明
感想
■本作が1970年3月公開で、『ボクは五才』が9月公開、『裸でだっこ』が11月公開なので、湯浅憲明は大映末期の売れっ子だった。しかもテレビドラマにも進出しているし、大忙しの状態。
maricozy.hatenablog.jp
■高橋二三らしく、新怪獣ジャイガーの性格付けが入念で、アイディアいっぱい。オカルト要素を取り入れたあたりも良い着眼で、「悪魔の笛」に生贄の血を注ぐ管を作ったら、風が共鳴して凶悪な低周波を発生して、その低周波がジャイガーの弱点で封印になっていたとか、合理性はさておいても、よく考えつくなあ。プチ天才。低周波公害で船員たちのメンタルがやられるくだりとか、もっと丁寧に描ければよかったけどね。勿体ない。
■ただし、演出は完全に子ども向けテイストなので、照明はバカに明るいし、ミニチュアステージセットは広大だけど金がなくてミニチュア細部が大雑把。その代わりか、特撮セットでの意欲的な長廻しが印象的で、ユニークな効果だけど、特撮シーンの編集がかなりタルい気がする。せっかくの万博ネタも金がなくて描ききれないのは非常に残念なことだ。万博内でロケしたかったよね。さすがに壊せないにしても。
■ジャイガーの放った針で身動きとれないガメラが、いかにして窮地を脱するかという場面のコダワリが尋常ではなく、このあたりが昭和ガメラ演出の真骨頂。手足を貫く太い針がいかにガメラにとって致命的なのか、それをどうやって克服するのかを、もちろん台詞はなしで、映像だけで見せきる。今どきだとこんな部分は、謎の光線とか出しておいて、一瞬でやっつけるけど、映画表現として、どれだけ丁寧に描けるか、実際現場でどう撮れるか、その成果に、湯浅憲明のプチ天才ぶりが示される。この場面が特撮演出の白眉ですね。
■一方で大阪港あたりの描写が妙に場末感満点で、あのあたりのうら寂しさが大映末期の独特なテイストなのだ。バルゴンの頃は、泥臭いとはいえ、まだオープンセットを使って豪勢な場末だったけど、本作ではどん詰まり感が露骨に現れている。それだけで切ない気分にさせられるのは、ノスタルジーだろうか。
■特撮の一番の問題は、スクリーンプロセスの精度の悪さで、同時期に大映京都では同じような画面構成で見事なブルーバック合成を使っていたので、比較するとあまりにも貧相だ。
