さよならジュピター ★☆

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さよならジュピター
1984 ヴィスタサイズ 129分
DVD

ディアゴスティーニがDVDを出してくれたおかげで、ずいぶん久しぶりに観ることができたが、画質はビデオレベルなので、東宝のビデオ用原版から作ったようだ。DVDもジェネオンから限定版で出ていたはずだが、そちらの原版が流用されると期待していただけに、ちょっと裏切られた気分だ。それでも、人間には脳みそという便利なものが付いているので、根性で脳内補正を試みれば、封切り当時のスクリーンの色調と質感が鮮やかに蘇る(はず)。
■普通に劇映画として観れば、ガタガタなのだが、少なくとも川北紘一の特撮演出は、当時エポック・メイキングであったのだ。そのことを改めて実感した。今見ても、宇宙船群のミニチュア撮影は十分に魅力的なのだ。ライブ撮影で、ミニチュアの質感がそのまま表現されているから、ミニチュア好きには最高の贈り物だ。木星大赤斑探査の一連のシーンなど、素晴らしい完成度で、今見ても燃える。後年、平成ゴジラシリーズの終盤は川北特撮のマンネリ化も激烈で批判も多かったが、川北紘一のおかげで東宝特撮が復興を遂げたことは絶対に忘れてはいけない。
■物語としては、小松左京の原作小説を読まないとその意図が十分に理解できないというのが映画の弱点なのだが、そこに輪をかけて不細工な演出が頻出して、いちいち感情移入を阻害する。しかも、小松左京の描きたかったことは、何故か太平洋戦争に対する鎮魂ないし戦中派の心情であったりするものだから、ますます観客は混乱したわけだ。日本映画には珍しいハードSF映画を期待していると、語られる話は、帝国海軍最後の切り札戦艦大和に対する思い入れと、それを海上特攻兵器に転用しなければならない運命に対する嘆き、みたいなお話で、最後は宇宙戦艦ヤマトブラックホールに特攻をかける的なクライマックスを迎えるから、呆気にとられるわけだ。しかも、木星は人間の製造物ですらないのだ。(続く)

参考

特撮技術に関する画期的な取り組みについては拙著に詳しめに記述しました。
maricozy.hatenablog.jp
本作にも特殊美術として参加した長沼孝の名著。特撮マニア垂涎の奇跡の書。

東宝特殊美術部外伝上: 模型少年、映画屋になる!?

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さよならジュピター オリジナル・サウンドトラック

さよならジュピター オリジナル・サウンドトラック

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