基本情報
てっぺんの向こうにあなたがいる ★★★
2025 ヴィスタサイズ 130分 @T-JOY京都
原案:田部井淳子 脚本:坂口理子 撮影:笠松則通 照明:渡邊孝一 美術:杉本亮 音楽:安川午朗 VFXスーパーバイザー:白倉慶二、興村暁人 監督:阪本順治
感想
■1975年、エベレスト日本女子登山隊の副隊長兼登攀隊長として女子初登頂を果たした主人公のその苦労と、ガンが発見されても、しぶとく登山に人生をかけた晩年の執念を並行して描く、意外にも見どころのある実録映画。ハリウッド映画ではこうした実録ものは得意で、いい映画がたくさんあるけど、日本ではモデルに対する遠慮もあって、なかなかうまく行かないことが多い気がする。
■のんと吉永小百合が二人一役という配役の妙が見どころで、どうみても似ていない二人が同じ人物を演じて、納得できるか?と思って劇場に出かけるけど、これが成立しているから、映画って、ある意味ルーズなんだね。つまり、視覚要素よりも、意外と感情要素が大きいのだろう。つまり、感情移入があれば、見た目の違いは、あまり影響力がなくなる。そんな心理的な実験作かも。
■いちばんの見所は、女子登山隊を稼働させるための苦労の部分で、和田光沙、円井わん、安藤輪子、中井千聖と良い顔が揃っている。円井わんは『ばけばけ』でも大きな役どころだけど、本作も、実は非常に重要な役。主人公にとっては、生涯の十字架となる存在なのだ。女性のエベレスト初登頂は、本当は彼女だったかもしれない、という主人公の負い目。しかも、台詞に頼らず、表情で語ってしまった部分も大きくて、配役の妙と言える。実は役者冥利に尽きる役柄だと思う。隊長の和田光沙という人もはじめて認識したけど、非常にリアルな演技ができる人で、感心。気まずい、というか、破局的な報告会の場面が成功したのも、こうした配役のアンサンブルによる。一将功成りて万骨枯る…まさにそんな残酷な結末なのだ。そして、その苦さと負い目がドラマのテーマとなる。事実だろうけど、その人生の苦さを取り逃さなかった点は、褒めていいと思う。
■一方で、そんな彼女を終生支えた旦那と家族のドラマが、吉永小百合と佐藤浩市で演じられる。何度もガンを発病しながらも、最後まで登山にこだわる主人公の前向きな生命力と夫婦愛は、それはそれで悪くない。若葉竜也はややステロタイプな役柄だけど、地味ながら木村文乃の演技も随分筋が良いのだ。ホントに過去と現在を並行して描くことで、ちゃんとテーマが重層化しているから、成功作だよね。ラストの絵に書いたようなVFXシーンが蛇足であることは、そっと記憶の片隅に埋めておこう。ちなみに、デジタルマットはILM出身の上杉裕世が描いているぞ!
■そして、吉永小百合はとうとう末期がん患者を演じて、女優のキャリアに終止符を打とうとしている。素直にそう感じる。もちろん年齢的に「サユリスト」ではないけど、なんやかんやでいっぱい映画は観ちゃったからね。感慨深いなあ。
参考
阪本順治は、この映画撮ったから尊敬はしてるんです。撮影中は、あまりのストレスで身体症状が出たそうです。そりゃそうだよねえ。よほどの胆力がないと、この映画化はできないよ。
maricozy.hatenablog.jp
吉永小百合の最近の活躍。といっても、彼女自身のプロデュース作を観ていない!
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