中盤にえげつなく怖い場面があって、嫌だッ!正調人形怪談『ドールハウス』(ネタバレあり)

基本情報

ドールハウス ★★★
2025 ヴィスタサイズ 110分 @TJOY京都(SC6)
原案、脚本:矢口史靖 撮影:高木風太 照明:市川徳充 美術:金勝浩一 音楽:小島裕規“Yaffle” 監督:矢口史靖

感想

■幼い子供を事故で亡くした妻は、たまたま手にした古い人形に魅入られ、心を癒やされてゆくが、次の子を授かった5年後、人形はその邪悪な本性を徐々に現す。。。

■もともと矢口史靖はJホラー演出で卓越した手腕を発揮していて、映画でもついに純正ホラー映画を手掛けて、本領発揮というところだ。いつものコメディ要素は皆無だ。「学校の怪談 春の呪いスペシャル」の「恐怖心理学入門」は傑作だったよ。

■さすがに脚本はよくできていて、あそことここがの視覚的なイメージが呼応していたり、あれを見せたいために職業設定がされていたり、人間関係がコンパクトに纏められていたり、素直に作劇の勉強になります。上手いなあ。

■特に序盤から中盤にかけて、長澤まさみの視点から、怪異と恐怖を積み上げてゆく部分が秀逸で、ミッドポイントあたりのえげつない最凶場面は特に上出来。心理ホラーとしての性質が見事に表出されていて、長澤まさみの、単なる絶叫を超えた、ぐえーみたいな心の叫び(嗚咽?)は、見慣れた場面なのに、心底背筋が凍る。他にも『震える舌』を意識した場面もあって、ほんとに嫌。児童虐待を疑われるのも最近のホラーでよくある手だけど、嫌だなあ。

■その後は視点が夫の瀬戸康史に移って、呪いの人形の由来の探索が始まり、怪異も派手になる。風吹ジュンも襲われ、警官で安田顕が登場し、お寺では手におえないので、神官が出てくる。田中哲司だよ。このあたりになると、完全にモードが変化していて、心理ホラーではない。すでに活劇になっており、すっかりやつれた(だいじょぶ?)品川徹も出てくるよ。ただ、呪いの人形の由来はあまり新味がなくて、最期の一捻りも悪くないけど、まあ小粒だな。もちろん、大きなどんでん返しなんて不要なんだけど。むしろ『アナベル 死霊館の人形』くらいにクライマックスはこじんまりとまとめた方が、ラストが効いたかもしれない。

■個人的には田中哲司の役どころは安田顕にやってほしかったなあ。『アナベル』シリーズでは終始人形は変異しないけど、本作では徐々に変貌しますよ。まあ、チャッキーみたいにはなりませんから、安心して。

■音楽は明らかにブラムハウスの作風を踏襲していて、ジョセフ・ビシャラみたいで、これが結構良い。タイトルの出るところなんて、まさにそのまんま『死霊博物館』だね。


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