基本情報
仁義なき戦い 頂上作戦 ★★★☆
1974 スコープサイズ 101分 @DVD
企画:日下部五朗 原作:飯干晃一 脚本:笠原和夫 撮影:吉田貞次 照明:中山治雄 美術:井川徳道 音楽:津島利章 監督:深作欣二
感想
■昭和38年頃の広島抗争と警察の頂上作戦の激烈な対立を描いた、実質的なシリーズ最終作。神戸の大組織を背景として、広能がつく打本組と山守組の戦った代理戦争は、チンピラたちの暴発を招き、市民と警察の反発を食らう中で袋小路に陥る。
■前作『代理戦争』が複雑怪奇で煮えきらない作品になったのは笠原和夫も認識するところで、そもそも広島抗争を一本で描く予定を分割したから。なので、本作を観ないと『代理戦争』の評価も下せないのだ。ということを、やっと知りました。誰か解説してよね。
■笠原が標榜した人間喜劇としての旨味は、むしろこちらのほうが成功していて、構成も意外にスッキリしているし、組長たちの鍔迫り合いとチンピラたちの暴発が並行して描かれて、渾然一体となっている。警察の動きが最低限描かれたのも効果的で、やくざ世界だけを描いたのでは、時代と社会の動きがリアルに掴めないから。加藤武と小林旭の、「ケンカ相手に金貸すバカがどこにいるんじゃ、このボケ!」 は傑作。こうした面白さが、人間喜劇であるはず。『代理戦争』には、まだなかった。
■なにしろ18年も戦争しているので世代交代が進み、チンピラたちがたくさん投入されて、なかなか壮観。東宝では主役の黒沢年男もよく出たと思うけど、全く場違いな小倉一郎が出色で、いちばんリアルだったから、配役の勝利だね。前作の渡瀬も良かったけど、東映ユニバースの住人ではこのリアルな人間像と表情は出せないなあ。これは実に見事でした。小倉一郎の実家が原爆スラムで、母親の荒木雅子が顔にケロイドという、分かりやすい表現になっている。けど、所詮点描なので、効果は知れている。
■戦後から頂上作戦までの18年間の戦いに疲弊し、広能は逮捕され、山守を狙い続けた戦いの総括を寒々と話し合うラストは、さすがに心に沁みるから、やっぱり『代理戦争』と『頂上作戦』はニコイチ、前後編なのだ。終盤でちょっとだけ登場して、映画のテーマを押し出すヒラ警官とか、その上司、じゃなくて、弁護士役の汐路章とか、まあむりやりに纏めようとしている気もするけど、でもこうじゃないと、収まらないよね。分かりやすいから、いい!
■いままでなんとなく誤解していたのだけど、このシリーズは、「戦後」を描くのではなく(深作はそう認識していたけど)、戦後も続く「戦争」そのものを描こうとしていたようだ。太平洋戦争(かアジア・太平洋戦争か、大東亜戦争?)は終わったけど、まだ戦争を終わらせなかった男たちがいて、戦後のはずがしっかりと18年間も戦争を継続していた。そう考えると、なんとなくやっと腑に落ちた気がする。戦争は間尺に合わない。戦争で犠牲になるのは常に若いものだ。それがこのシリーズの極めてシンプルなテーマだったのだ。そして、それは『二百三高地』『大日本帝国』にも直結する。
