熱海博士(戸浦六宏)はマッドでパーなのだ!『バンパイヤ』備忘録(9-12話)

■(承前)謎の原始人を支配していたのは孤島に住む熱海博士(戸浦六宏)だった!彼は生きていたのだ。しかも謎の薬品「マッドパー」(マッドでパー。手塚先生、ふざけ過ぎ)で人間を原始人に退化させて真の平和を実現しようとしていた!「孤島の鬼」だね?しかも戸浦六宏は「マッド・パ~~」と発音するので、完全にふざけてますね。パーでんねんか?

■肝心の主人公はほぼ姿を消して、悪の天才(自称)ロックが主演という斬新さ。富豪の大西(上田吉二郎)夫婦を謀殺するし、下田刑事(岩下浩)までバンパイヤを使って暗殺してしまう驚愕展開。。。子ども番組なのに、凶悪すぎ。しかも、バンパイヤ委員会東京支部と協力関係を結び、巨大財閥にのし上がってゆくが、その真の目的は?

■なかなかえげつない展開で、10話「ロック対ルリ子」(脚本:藤波敏郎 監督:まふねてい)にはトッペイもチッペイも登場しないという事態に。まふねていの演出はまるで昔の8ミリの自主映画のようなキャメラワークで、キャメラ持って嬉しくて仕方ない映画小僧みたいな作風。誇張なしにそんな感じなので、愉快だけど、スタイルとしては完成していない。特に照明はひどくて、ホントに素人みたい。でも同回には上田吉二郎や渡辺文雄が単なる亡霊(幻影)だけの役(台詞なし)で登場するから、そちらは贅沢なもんだな。


www.youtube.com

■この頃から、人間の顔だけが動物に変貌する合成カットが頻出するけど、原作漫画に忠実とは言え、さすがに厳しい。そして12話「夢の国は魔物の国」(脚本:久谷新 監督:まふねてい)では、アルタミヤの駐日大使がバンパイヤであることが判明するから、一気に世界規模にスケールアップなのだ。そんなに風呂敷広げて大丈夫?


www.youtube.com

■ちなみに、このあたりを書いている脚本の久谷新という人は、他に実績がないので、誰かの変名だろうなあ。まさか16話でいきなり監督として登場する東映松田寛夫のことではないか??


© 1998-2024 まり☆こうじ