隠し砦の三悪人
1958 スコープサイズ 139分
DVD
脚本■菊島隆三、小国英雄、橋本忍、黒澤明
撮影■山崎市雄 美術■村木与四郎
照明■猪原一郎 音楽■佐藤勝
特殊技術■東宝技術部
監督■黒澤明
■ずいぶん久しぶりに観たけど、これ面白いね。お話としては、リアル志向の時代劇ではなく、まるで日本昔話のような空想的な活劇。黒澤明らしい湿度の低い映像スタイルは完全に西部劇を踏襲している。この当時、すでに時代劇のリアル化志向は始まっていたと思うが、本作はその系譜にはない。菊島隆三も橋本忍も単独でレベルの高い時代劇の脚本を書いていたはずだが、それらに比べても特に意欲的なお話、脚本ではない。
■でも、面白いんだよねえ。背景に映し出される焼け落ちた秋月城のオープンセットの巨大さ、大階段のモブシーンのスペクタクル、東宝名物のダンスシーンが弾ける火祭りの愉しさ。どれも記憶には残っていたが、改めて感心する。大映時代劇でも東映時代劇でもお目にかかれない壮大さと力感は、確かに黒澤映画ならではのお楽しみだし、東宝映画のバックボーンがそれをよく支えている。東宝じゃないと、このスケールは成立しない。(続く)