ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー ★★★☆

Rogue One: A Star Wars Story
2016 スコープサイズ 133分
Tジョイ京都(SC3)

スター・ウォーズEP4の直前にあった帝国軍と反乱同盟軍の激突を描いたスピンオフ映画で、評判通り終盤までの展開がモタモタするし、キャラクターが簡潔に表現できていないし、話術が地味だし、フォレスト・ウィティカーは何しに出てきたのかよくわからなし、主人公のフェリシティ・ジョーンズは実際は小奇麗な魅力的な女優なのにまったく綺麗に撮られていないし、まあ、誰の目にも欠点だらけの映画。でも、終盤ですべてを覆す大感動をもたらすからすべての粗が帳消しになる。映画って、昔からそんなもんで、終わりよければすべてよしが原則。そのことを正当に思い出させてくれた。なんせ監督がギャレス・エドワーズなので、真正面から娯楽映画に挑むはずがないのだ。

■終盤は明るい真昼間に大戦闘が行われるし、宇宙空間の戦闘もこれまでにないほどの精細感で大戦闘が描かれる。これが本作の美点で、キャメラワークも編集もゆったりとしていて、宇宙空間の立体的なバトルが明瞭に理解できる。しかも、戦闘方法も豪快で、力押しでスターデストロイヤーを轟沈させる場面など、痛快このうえない。CGだからといってこんなこともできまっせ的なアクロバットキャメラワークを振るのではなく、SFXの時代ゆったりとした官能的なキャメラワークを再現して見せる。そこが最高の見せ場。あとはモフ・ターキンが登場するのは衝撃。これは顔をCGに挿げ替えているらしいが、違和感が皆無で、凄い。

■しかも、ドラマ的には美談で語られる光輝ある反乱同盟軍の中にも身分的な差別はあり、汚れ仕事ばかりを振られる男たちがいて、彼らこそが特攻作戦に志願するという風に着想した点は秀逸。伊藤大輔忠臣蔵赤穂浪士の中にあった身分差別を描く『元禄美少年記』に似ている。実際、悲劇的なメロドラマで終わるのも同じ。ただ、中盤までの歯切れの悪い展開はイギリス勢スタッフの資質によるものと思われ、ここはアメリカ映画的にサクサクと進めるべきだった。その点、JJはよくわかっていたよね。

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