土曜ドラマ『足尾から来た女』 ★★★☆

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■脚本・池端俊策、音楽・千住明、演出・田中正
■出演・尾野真千子鈴木保奈美北村有起哉渡辺大岡田義徳、尾上寛之、玄覺悠子、金井勇太松重豊原沙知絵國村隼藤村志保柄本明
足尾銅山鉱毒に苦しむ栃木県谷中村から田中正造の紹介で東京の社会主義者の家に手伝いに出ることになった文盲の娘が様々な人との出会いを通して成長し、故郷に対する思いを強くする過程を描いた社会派ドラマ。足尾鉱毒事件で廃村となって廃液の貯水池になった谷中村の姿を原発事故後のフクシマの姿に重ねて、百年たっても何も変わっていない国の姿勢を問うという硬派な物語だ。
百人のために一人を犠牲にする国は野蛮国だという田中正造の台詞にすべてが表現されているわかりやすいドラマで、福田英子を演じた鈴木保奈美も悪くなかったし、石川三四郎を演じた北村有起哉も期待通りのだらしない小心な男を演じて人間味あふれる良い味を出している。田中正造柄本明だが、『襤褸の旗』の三国連太郎の姿が強烈だったので、どうしてもこじんまりと見えてしまうなあ。主演の尾野真千子は平凡な日本の女をリアルに演じられる貴重な女優だ。
■さすがにベテラン脚本家の池端俊策なので、石川啄木との交流のエピソードも見ごたえがあるのだが、クライマックスが偶然遭遇した原敬に故郷を返せと投石する場面というのは少々拍子抜けだった。ここはもう少し捻ってほしかった。さらにその後の主人公の選択についても、どうも腑に落ちず、落ち着かない。関係者のその後についても点描などもあるかと思えば全く無しで、福田英子、石川三四郎田中正造らのその後については全く触れられない。あのラストではどうも主人公のその後を続編で描くので、それまで待ってねという風に見えてしまう。まさかそんなこともないだろうとは思うが...



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