太陽の罠 ★★★☆

アメリカの特許マフィアとの知財戦争に巻き込まれた電気メーカーの中で起こる殺人未遂、産業スパイ疑惑...果たして会社の存続は、そして俺の最愛の妻は、会社への復讐のために俺と偽装結婚して利用したのか?

■というNHK名古屋制作の土曜ドラマで、脚本は大島里美のオリジナル。さすがにNHK伝統の土曜ドラマなので、すこぶる硬派。間違いなく大映の黒シリーズあたりを参考にしており、産業スパイとか復讐とか恋人に他人と寝ろと強要したり、全て増村保造印の筋立て。さらに大映テレビ製作の『ザ・ガードマン』もかくやといった現代怪談テイストまで盛り込んで、伊武雅刀の殺害未遂を怪奇映画タッチで描く。塚本高史はさながら田宮二郎の役どころだが、さすがに少々荷が重かったようだ。

■第3話「不都合な真実」で完膚なきまでに裏切られ、叩きのめされた主人公の西島隆弘が反撃に転じるのが第4話「太陽をつかむ男」で、要は産業スパイとして自分の彼女を送り込んできた塚本高史に対する復讐がテーマとなる。最終回はさすがに主人公と伊藤歩のベタベタしたメロが多くなるが、復讐劇の皮肉なというか意地の悪い捻りには感心した。そして何事も無かったのように復帰する伊武雅刀の姿は立派なコメディだった。尾美としのりとの確執はもっと念入りな回収があってしかるべきだが、面白かったからいいや。

■序盤の尾美としのり心理的な追い詰められ方も見ごたえがあったし、最終回の西島高弘の一気呵成な反撃も見ごたえたっぷりで、堪能した。やっぱり塚本高史が貫禄不足なのが弱いなあ。

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