フランケンウィニー ★★★

FRANKENWEENIE
2012 ヴィスタサイズ 87分
Tジョイ京都(SC5)

■オリジナルの短編実写映画は劇場で観ていて、かなり感心したものだが、まさか長編人形アニメでリメイクするとはね。こんなマニアックな企画をしかもモノクロで製作させるとはディズニーもさすがに太っ腹だ。今時、モノクロフィルムも生産されていないだろうから、ARRIのアレクサというデジタルキャメラが使用されたようだが、大昔のモノクロ撮影の怪奇映画の表現主義的な陰影表現をしっかりと再現し、比較的コントラストの強いモノクロ映像で黒の締まったルックを作っている。このあたりはなにしろ製作費が潤沢なので、さすがに凄い仕事ですよ。

■しかし、お話の作り方としては不満が幾つもあり、単純に感動したり納得できたりするウェルメイドな映画ではない。死の渕から蘇ったフラン犬と飼い主のドラマを深めるよりも、モンスター・パニックの方に尺を食ってしまったのがその原因。それはそれで賑やかで単純に楽しいのだが、せっかくティム・バートン独自の屈折した心理をもっと掘り下げて欲しかった。屈折した動物映画でもあるはずなのに、その側面が相対的に後退して見える。演出的にも全体に「溜め」が弱く、ドラマとしてのコクが無いのは、人形アニメだからということだろうか。

■後半に色んな死んだペットが蘇生して街が大騒ぎになるのだが、まあ例の巨大怪獣には感心しきり。よくもやってくれたよ。あのキャラクターを人形アニメで描くとはね。しかも、結構な大掛かりな見せ場が用意され、一時的に主役を張るのだから堪らない。これが観られただけでも大満足。当然のことながら人形アニメのクオリティはぴか一なので、もう嬉しいことこの上ない。

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