啓蒙書だけど、ちゃんと理解できる大人は何人いるでしょう?加藤陽子著『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』

リットン調査団報告、三国同盟締結、日米交渉の3つの大きな交渉事について、当時の日本はどこでどう失敗したのかを解き明かす啓蒙書。

■だけど、これ読んで通読で理解できるのはかなりのインテリ層に限られるでしょう。日本人の平均的な知識レベルでは、なかなか噛み砕けないと思います。特に近年はそうなっている。それこそ、昔は「朝日ジャーナル」みたいなガチガチにマニアックな雑誌が若い層にそれなりに売れていた(今では信じられない!)わけだけど、今や「諸君!」「WiLL」「Hnnada」とか、あの程度がせいぜいですからね。あのくらい、平易に単純に書かないと、いまの一般読者には届かない、理解できないのが実情。

大東亜戦争調査会の幣原喜重郎総裁の第1回総会の挨拶文が、改めて感動的で、日本人は絶望的な敗戦経験を糧に、日本人にしか編み出し得ない、平和主義を実現するための深遠な哲学や思想を生み出して、世界の平和な未来に貢献する(できる)特別な地位を占めるはずだったのに、そんな日本になりたいと願ったのに、いまだにできないでいることが悔しくて仕方ない。あれから80年もたったのにだよ!日本の政治家や人文系の研究者は、この間、何をしていたの?

今日我々は、戦争抛棄の宣言を掲ぐる大旗を翳して、国際政局の広漠なる野原を単独に進み行くのでありますけれども、世界は早晩、戦争の惨禍に目を覚まし、結局私共と同じ旗を翳して、遥か後方に踵いてくる時代が現れるでありましょう。(450頁)

そんな時代は、ついに現れずに終わりそうなのだ。。。残念!

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