シリーズ4作目『座頭市兇状旅』★★★☆

座頭市兇状旅
1963 スコープサイズ 86分
DVD
脚本■星川清司
撮影■牧浦地志 照明■中岡源権
美術■太田誠一 音楽■伊福部昭
監督■田中徳三

■シリーズ4作目だが、今回初めて観た。全く期待していなかったのだが、意外にもなかなかの佳作。万里昌代との因縁の恋の決着が意外にも残酷な形で明かされて、非常にビターな仕上がり。

■見所の殺陣は白昼堂々の大立ち回りを見せ、座頭市がワンマンアーミーぶりを遺憾なく発揮する名場面だ。北城寿太郎との一騎打ちよりも、こちらの雑魚どもを斬って斬って斬りまくる圧巻のスペクタクルシーンのほうが個人的にはお気に入り。牧浦地志のシャープな構図のとり方が絶妙で、このあたりは宮川一夫ではこうはいかない。重厚でありながらシャープで軽妙というものすごい芸当だ。

■また、ラストの幕切れが素晴らしく、シリーズ中でも傑作のひとつだろう。『座頭市血笑旅』のラストの寂寥感も凄かったけど、こちらの深い哀しみを析出した勝新の演技は誰にも真似できないし、盛り上がる伊福部昭の楽曲とともに、座頭市の過酷な人生の行き着く先を不吉に暗示して胸に迫る。

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