SUPER8 ★★★

SUPER8
2011 スコープサイズ 111分
T-JOY京都

SUPER 8/スーパーエイト ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]
■J・J・エイブラムスが80年代スピルバーグ風のジュブナイルSFをもくろんだ小規模作品、のはずが超大作になってしまったという秘密の大作。確かに80年代風の意匠が懐かしくはあるものの、脚本としても特に優れたものがあるとは思えない。平和な町が徐々に非日常に浸食されてゆくサスペンスやクライマックスの戦闘のスペクタクルなどの演出はさすがにハリウッド映画のボリューム感をこってりと味わわせてくれるが、それ以上の感動があるかといえば、疑問である。
■8ミリ映画を撮っている中学生グループのひと夏の大冒険という趣向だが、そもそも8ミリ映画を作ったことのある観客がいくらいるのか疑問だし、ドラマがそれ以上の普遍性を獲得しているとも思えない。
■この映画に不足している要素は2つあり、一つは笑い。一つは抒情的な音楽だ。中学生グループの描写で前半にもっと笑わせないと感情移入が進まない。劇伴は最近のハリウッド映画の風潮で個性的なメロディを響かせないスタイルだが、80年代風を目指すなら、もっとメロディ主体で、誰でも口ずさめる音楽を用意すべきだ。
■秘密の例のあれの描写にも面白みが無く、ありふれたCGモンスターにしか見えない。もう少し知性を感じさせるデザインは工夫できないのか。「クローバー・フィールド」の怪獣にも似ているような気がするのだが、まさかお話繋がっているのか?
■しかし、エンドクレジットに流れる8ミリ映画はなかなか傑作で、この部分が一番面白かったよ。ジョー・ダンテ、今はどうしているのやら。新作撮ってほしいなあ。

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