ヒストリー・オブ・バイオレンス ★★★☆

A HISTORY OF VIOLENCE
2005 ヴィスタサイズ 96分
DVD

■クローネンバーグがなぜかヤクザ映画を撮った本作は、非常にタイトで、切れ味の鋭いアクション映画である。とにかく、ヴィゴ・モーテンセンが問答無用に強い。その揺ぎ無い無敵ぶりは、セガールに匹敵する。
■アクションシーンの見事なカット割りは、北野武の諸作のアクション演出に匹敵するし、何より近年の無駄に引き伸ばされるアクション演出とは正反対の位置にあり、こちらが正攻法といえる。中盤のレストランの場面の、急展開ぶりは久しぶりに息を飲むアクション演出だった。
■ただ、あのラストでは色々と大きなものを観客に丸投げしすぎのように思う。あれだけの大立ち回りを演じておいて、警察の反応に一切触れないのは、観客を不安にする。
■でも、クローネンバーグがこんなに物分りのよいジャンル映画を撮っていていいのか?という変な心配が生じないでもない。

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