引き裂かれたカーテン  ★★☆

TORN CURTAIN
1966 ヴィスタサイズ 128分
NHK BShi

■ピカピカにリストアされたハイビジョン画質はいいのだが、映画自体は淋しいなあ。一番上出来なのは、乗り合いバスでの脱出場面で、ここはヒチコックらしいサスペンスとユーモアの混在した突出した名シーンだが、スクリーンプロセスが汚すぎるのが大きな傷だ。60年代後半に入って、既にスクリーン・プロセスがハリウッドでも過去の技術になりつつあったことを感じさせる。ヒチコックはスクリーン・プロセスのうそ臭さが大好きで、わざとその違和感を演出的に使いこなそうとした節があるのだが、本作は単純に合成技術的に難ありだ。(続く)

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