伊賀忍法帖  ★★

伊賀忍法帖
1982 ヴィスタサイズ 100分 BS11
原作■山田風太郎 脚本■小川英
撮影■森田富士郎 照明■増田悦章
美術■井川徳道、園田一佳 音楽■横田年昭
特撮スタッフ 撮影■宮島正弘 照明■岡本洋治 操演■白熊栄治、鳴海聡、香取康修
特撮監督■鈴木秀雄 監督■斎藤光

■渡辺典子のデビュー作だが、よくもこんな映画でアイドル女優をデビューさせたものだと唖然とする。エロとグロのオンパレードで、完全にエグロ時代劇なのだから。なにしろ監督がアクション映画にビジョンを欠いているため、東映映画なのにアクションが全く冴えないし、アクション映画の作劇にも東映ならではノウハウが生かされていない。同じ角川映画でも、深作欣ニの「里見八犬伝」がいかに傑作だったかがよくわかる。

東映に進出した森田富士郎が撮影を担当しているが、絵作りにもそれらしさが希薄で、全くいいところが無い。森田富士郎の起用は「子連れ狼」シリーズを意識したものらしく、やたらと大仰なスプラッター描写が続く。というか、この映画、徹底した”生首映画”で、大仏様の生首(?)さえ落とす徹底ぶり。いったい誰の趣味だ?

■中盤の大仏殿炎上シーンは、琵琶湖岸に巨大なミニチュアを組んで撮影したそうで、さすがにリアルなものだが、合成はスクリーンプロセスだけで、移動マスク合成も無く、本編とミニチュアシーンが完全に遊離した、80年代の日本特撮氷河期ならではのギクシャクした映像構成になっている。さらに大仏殿内部の大仏を入れ込んだフルショットは、当然ロケができないので、作画合成を使用しており、これもさすがの完成度。マット画は渡辺善夫が描いていたはずだ。大仏のアップショットなど全画である。

真田広之千葉真一もアクションの見せ場が冴えないが、後半に登場する風祭ゆきはさすがに全盛期で、綺麗だし色っぽい。裸要員なのだが、ヌードにならなくても、十分に存在自体の色気で勝負できるはずだ。

参考



斉藤光正なら、こっちを観てくださいよ。『斜陽のおもかげ』は意外にもいい映画なんですよう。
maricozy.hatenablog.jp

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