仮面のロマネスク-ラクロ作「危険な関係」より- ★★★☆

『仮面のロマネスク』『Apasionado! ! II』 [DVD]

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仮面のロマネスク-ラクロ作「危険な関係」より-
1997年 宝塚雪組公演
作■柴田侑宏 作曲・編曲■寺田瀧雄 演出■柴田侑宏
出演■高嶺ふぶき花總まり轟悠星奈優里和央ようか安蘭けい

1830年のパリを舞台に青年貴族ヴァルモン(高嶺ふぶき)と若き未亡人メルトゥイユ公爵夫人(花總まり)の恋の駆引きを描いたラブストーリーということだが、メルトゥイユ公爵夫人という性悪女は自分が欲しければ、社交界で純真な生娘や人妻を誘惑して堕落させるよう命じるという、貴族社会の頽廃を描いた心理劇である。というか、原作は未読なので、そういう物語らしい。
■とにかく、最初は複雑な人間関係の設定に困惑するのだが、後半はメルトゥイユという女のある種の異常さと、洗練された手際で純な女たちを篭絡してゆくヴァルモンの歪んだ愛が、7月革命という時代の大きな流れに飲み込まれてゆくあたりのたたみかけが見事で、滅び行く貴族社会への挽歌としてのラストも綺麗に決まっている。かなりの佳作。
花總まりは先日のカルメンに比べると役が軽い気がするが、今回も全く危うげなところが無い。というか、時系列的には本作が先。トゥールベル夫人を演じる星奈優里は慎ましやかな言動の中に欲求不満げなオーラを発する人妻役を好演して、はまり役。というか、本作が放映された『宝塚ドリーミング・シアター』のMCの彼女じゃないですか。やっぱり色っぽいですね。脇役で安蘭けいがちょこちょこと出てきますが、なんか前歯が大変なことに!?

参考

すっかり宝塚の定番の出し物になっているようで。それだけ完成度が高いという証左ですね。

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