- 出版社/メーカー: 宝塚クリエイティブアーツ
- 発売日: 2010/03/18
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ハプスブルクの宝剣
2010年 宝塚星組公演
原作■藤本ひとみ 作■植田景子 作曲・編曲■ 甲斐正人 主題歌作曲■シルヴェスター・リーヴァイ 演出■植田景子
出演■柚希礼音、夢咲ねね、凰稀かなめ他
■ユダヤ人社会を追われた青年は、出自を隠してオーストリア人として生きなおすことを志し、ハプスブルク家の宝剣と言われるまでに奮迅の活躍を見せるが、皇女テレーゼからは拒否され、傷心のうちに戦場で重傷を負うが・・・
■どうも前半部分は楽曲の魅力も少なく、演出も地味というか楽しいけれんに欠けるなあと思って見ていたが、終盤の戦場で重傷を負った主人公があるものによって救われる場面で一気に感動の坩堝に叩き込まれた。正直、演技陣は柚希礼音以外に実力派がいないようで、演技面ではかなり薄手な印象だったのだが、終盤になって伏線(音楽的な演出も含めて)が効いてくるという渋い作りだ。ラストの橋の上での恋人との再会場面も、非常に古典的な趣向ながら、幕の下ろし方が絶妙で、演出家のセンスの良さを感じさせる。
■原作では中盤のハプスブルク王朝の中での男同士の関係などにも力が入っているらしいが、舞台ではそこは案外あっさりと処理され、マイノリティである主人公の心の遍歴に焦点を絞っているようだ。ラストには、皇女のテレーゼが差別と偏見の解消を訴えるという、人権啓発ドラマ的な見せ場も用意されている。前日には「ジプシー男爵」が放映されており、宝塚はマイノリティ劇の宝庫と言えるかもしれない。
参考
原作は長編小説のようです。気になる。
- 作者: 藤本ひとみ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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