BORN TO RUN さよなら初代0系新幹線〜引退記念スペシャルバージョン〜 ★★★

BORN TO RUN さよなら初代0系新幹線〜引退記念スペシャルバージョン
ミッドナイトステージ館 演劇はいま NHKBS2
2008年 あうるすぽっと ギンギラ太陽’s
作■大塚ムネト 演出■大塚ムネト かぶりモノ造型■大塚ムネト
出演■大塚ムネト、立石義江、杉山英美、上田裕子、中村卓二、古賀今日子、中島荘太、林 雄大、吉田 淳、石丸明裕、新田 玄

■博多車庫で雨ざらしで余生を送る初代0系新幹線たちは、最後に東京の地を踏みたいと、ある夜、東京に向けて暴走を始める。新東京駅(JR東海とか新幹線司令室ではなく、ではなく、駅です!)は彼らを大阪駅到着までに排除すべく、700系のぞみに指令を発するが・・・
■福岡で活躍するギンギラ太陽’sという劇団のかぶりモノ演劇。役者は人間ではなく、新幹線、駅、デパート、太陽の塔といったキャラクターのかぶり物を、コントのように頭に着けて演じる。我々特撮者にとっては、東映戦隊シリーズの間抜けな怪人などでお馴染みのあれである。鉄道の時代は終わったと言われ、バカにされながら開発が進んだ新幹線計画が、鉄道の復権を成し遂げ、日本の高度経済成長の象徴となった歴史的事実をベースにした、”昭和の歴史”劇。
■物語は非常に単純で、「新幹線大爆破」の影響も顕著だが、大阪で登場するお助けキャラや東京で登場する(福岡では)お馴染み(らしい?)、ひよこ侍が、お約束の大活躍を見せて、単純に楽しい。冒頭の西鉄ヤクザバス軍団の出し物も傑作だ。どこの地方都市でも似たような状況はあるものだ、と納得。
■しかも、インターミッションでおまけ(自分からおまけと言い切るのも凄いが)として上演される短編「女ビルの一生」も傑作で、正直、福岡以外の人は呆気に取られるのだが、不思議と感動する変な出し物だ。女ビルという発想が凄いが、浦沢義雄の影響も感じられるか。浦沢のようにシュールな笑いではなく、博多の百貨店ビルたちの辿る昭和史、栄枯盛衰を女の一生ものに見立てて歌と踊りを取り混ぜて、大衆演劇風に描き出す。その手際はシュールではなく、大衆演劇のそれである。
■このアイディアはフルCGアニメにピッタリだと思うのだが、CGにしてしまうと、役者が大真面目に無生物を演じるばかばかしさが失われてしまうか。
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