遊園地3兄弟の大冒険 泣かない、負けない、くじけない ★★★

■ギンギラ太陽’s。作、演出、かぶりモノ造形、大塚ムネト。出演は、大塚ムネト、立石義江、杉山英美、上田裕子、中村卓二、古賀今日子、中島荘太、石丸明裕、新田玄。東京ドームシティシアターGロッソ公演。
■NHKのサイトから引用、加工すると、梗概は以下の通り。昭和7年に誕生した老舗の遊園地「到津遊園」(いとうずゆうえん)は、不景気のため倒産しようとしていた。戦争も乗り越え子供たちを支えてきた到津遊園は、閉園を前に夢を見た。その夢は、自分が主人公となって伝説の遊園地を目指す「冒険の物語」だった・・・
岩田屋百貨店を主人公とした「男ビルの一生」も同時公演という、おなじみの(?)2本立てスタイルもうれしいギンギラ太陽’sの東京公演だが、「男ビルの一生」は「女ビルの一生」に比べると、さすがに地味で、遊園地三兄弟の大冒険と併せて、ドラマ的な核は太平洋戦争にある。何気に、反戦演劇*1である。そういう意味では、NHKにふさわしい演劇と言えるが、主人公たちの仮想敵として登場するのが浦安の某ネズミランドであり、某ねこちゃんや某ウルトラさんまで登場するというキャラクター総進撃状態なので、著作権処理がさぞかし大変だったろうと推量する。よくテレビ放送できたものだと、まず感心する。ここまでディズニーに正面から喧嘩を売った例も珍しいだろう。これが地産地消の強みか。
■大塚ムネトのメリハリの効いた演出のおかげで、主人公いとうずゆうえんにとって真に耐え難かったものとは何だったのかが感動的に明かされ、名を変えて実を取る最後の生まれ変わりを積極的に受け入れる姿に結実してゆく。中盤に登場するサザエボンをはじめとする”パチキャラの墓場”というアイディアも秀逸。
maricozy.hatenablog.jp

*1:反戦映画という言葉は頻繁に用いられるが、反戦演劇という言葉は存在するのか?演劇界は基本的に左翼の立場にあるので、戦争演劇は反戦演劇しかありえないので。

© 1998-2024 まり☆こうじ