バレンシアの熱い花 ★★★

バレンシアの熱い花 
NHKBS2録画
2007 宝塚宙組公演 宝塚大劇場 
作・演出■柴田侑宏、演出■中村暁 作曲・編曲■吉田優子、寺田瀧雄、河崎恒夫
出演■大和悠河、北翔海莉、陽月華蘭寿とむ、美郷真也

宝塚歌劇所属の劇作家の重鎮と言われる柴田侑宏の作品で、何度目かの再演らしい。さすがに年季の入った劇作家らしく、舞台こそスペインだが、ドラマは完全に時代劇である。しかも、往年の東映時代劇風の父親の復讐に立ち上がる剣士が主役の活劇で、大和悠河ほかのフレッシュなメンバーが賑々しく活躍する。楽曲としては相当シンプルなもので、(ウィキペディアによれば)「瞳の中の宝石」は名曲と言われているらしい。ただし、大和をはじめ歌唱に迫力が足りない。唯一元気だったのが北翔海莉。
■フェルナンド(大和)、ロドリーゴ(蘭寿)、ラモン(北翔)の三人の若者たちの青春を賭けた戦いを描く群像劇で、ことに復讐を終えた後のラストの展開と幕切れ(「私のイザベラも死んだ!」)が時代劇魂を燃え上がらせる。単純な剣戟に終わらない、復讐の持つ苦々しさが巧く表現されている。ただ、フェルナンドとイザベラのドラマがそれほど描きこまれていたわけでもないので、このメロドラマの部分は明らかに弱いのだが。
■レビューのコズミック・フェスティバル「宙 FANTASISTA!」はいろんな意味で、凄い。失笑しているわけではないよ。どうも今回の宙組公演は、観客層を低めに設定しているようだ。

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