女の中にいる他人 ★★★☆

女の中にいる他人
1966 スタンダードサイズ 102分
DVD 
原作■エドワード・アタイヤ 脚本■井手俊郎
撮影■福沢康道 照明■石井長四郎
美術■中古 智 音楽■林 光
監督■成瀬巳喜男


 親友(三橋達也)の妻(若林映子)を絞殺してしまった夫(小林桂樹)は自責の念に耐えかねて妻(新珠三千代)にすべてを打ち明けるが・・・
 成瀬巳喜男がサスペンス劇に挑んだ意欲作だが、犯罪劇ではなく、心理劇である。しかも犯行に伴う心理ではなく、犯行後の良心の呵責を丹念に追った点で異色である。

 妻は家族のために全てを忘れてくれと懇願するのだが、神経衰弱になり自殺を考えるまで追い詰められ、逃れる術は自首しかないと思い至る主人公の心理劇には、意外にリアルな迫力がある。いつもの家庭劇でみせる成瀬流の流麗な心理描写ではないが、罪悪感に苛まれる平凡な犯罪者の姿をここまで丹精に描いた映画は珍しいのではないか。

 三橋達也小林桂樹の過剰な信頼関係にホモセクシャルな雰囲気を醸し出したのは井手俊郎の工夫であろうか。この要素にもう少し踏みこんだほうがむしろ全体の構成が判り易いのではないかという気がする。

 ラストの新珠三千代の姿には、音楽が林光ということもあり、増村保造の映画を彷彿せずにはいられない。

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