おかあさん
1952 スタンダードサイズ 98分
BS2録画
脚本■水木洋子
撮影■鈴木 博 照明■佐藤快哉
美術■加藤雅俊 音楽■斎藤一郎
監督■成瀬巳喜男
多分10年ぶり2度目の鑑賞だが、やはり洗練された笑いが清清しい佳作だ。
香川京子の目を通して田中絹代の母で持つ一家の様子がスケッチされていくのだが、軽妙な筋運びとカッティングの精妙なリズムのなかで、長兄が死に、父も死に、妹は里子に出されて、家族が欠けてゆく様を精確に紡ぎだしてゆく。水木洋子の脚本は、家族というものの不確かさを淡々と受入れて、なおも家族であり続けるためには、母という存在が中心となることを静かに語りかけているのだろう。
田中絹代も文句なしに素晴らしいし、好人物の父親を演じる三島雅夫の邪気のなさも味わい深い。珍しく快活な役の岡田英次も適役で、香川京子のアイドル映画とも見ることができる、懐の広い娯楽映画でもある。