銀座化粧
1951 スタンダード
BS2録画
バーに勤める未亡人(田中絹代)は、知り合いの女の知り合いの若い男に淡い思いを寄せるが、男は妹分の娘(香川京子)と意気投合してしまう・・・
ライトな風俗劇だが、庇が寄り合った狭い路地が絶妙な舞台装置として機能する成瀬の演出は見事。若くはない女たちの生々しい言動を、ここでは持ち味の辛らつさは少々控えめで描き出している。
主人公の隣人を演じる柳永二郎らの助演が頼もしく、ちょっといかれた感じの田中春男が場をさらう儲け役。
主人公の一人息子の少年の行動を追った場面が素晴らしく、ラストの小騒動とその決着も当時の映画の定石とはいえ、心安らぐ幸福感を味わわせてくれる。
これでもう少しフィルムの状態がよければ、ありがたいのだが。