圧倒的な多幸感!そこはオシャレ天国か?『ロシュフォールの恋人たち』

基本情報

Les Demoiselles de Rochefort ★★★★
1967 スコープサイズ 123分 @NHKBS

感想

ロシュフォールの街のコルベール広場で行われる週末の海祭りを舞台に、若者たちの恋が交錯する。街に住む双子姉妹、その母、旅芸人、水兵たち、それぞれの恋の行方は。。。

■正直、お話は大したことなくて、すれ違いメロ要素があるものの、それ以上ではない。前作『シェルブールの雨傘』があまりに切なすぎたので、もっと単純に楽しいミュージカルを目指したものだろう。メイン舞台となる広場や町並みのなかで、基本は大規模ロケ撮影でミュージカルを描き出す。広場のカフェすらガラス張りで、柱が立ててあるだけで壁もスケスケだし、天井も透明素材。室内シーンなのに、ほとんどオープン空間という美術設計がユニークで、ほとんどSF映画的ですらある。被写界深度は深く取り、背景は当然ぼかさずに、精細に描写するスタイルなので、好天と大照明が必要だったはず。最近の映画とかドラマは背景のボケ味ばかり狙いがちなのだけど、本当に贅沢なのは、背景までバッチリ解像されているパンフォーカスの映像だよね、というのがこの時代の贅沢。

■こんな映画考えて完成させたジャック・ドゥミも、圧倒的な音楽書いたミシェル・ルグランも、天才なので、もう誰も止められません。ハリウッドのスターを招聘した大作なので、きっと舞台裏にはいろんな軋轢や確執があっただろうけど、まあ、こんなに多幸感に溢れた映画もないよね。ことに60年代ファッションは、垂涎。カッコいい。痺れる。冒頭のキャラバンの到着シーンでも、グレイの作業服に作業帽(ぽいコス)かぶった女子たちですら、痺れるほどカッコいい。この頃のグレイの衣装は、ちょっと銀色ぽい発色もあって、未来的な感じがする。ウルトラ警備隊の衣装も同じ発想だよね。

■コルベール広場のダンスシーンからカメラが後退して、街路をゆっくりクレーンアップすると、対面の建物の大きく開け放たれた窓に吸い込まれて、カトリーヌ・ドヌーヴの姿を捉える見事な長廻しも、涎が出る仕上がり。どう考えても相米慎二だよね。撮影はギスラン・クロケ。なんとなく名前だけは知っているけど、後年の『テス』は確かに良かった気がする。

カトリーヌ・ドヌーヴフランソワーズ・ドルレアックジーン・ケリー、ジョージ・チャキリス、ダニエル・ダリューと豪華キャストだけど、歌は基本的に別人がアテているようだ。でもダニエル・ダリューは自分で歌っているらしいからさすが。カトリーヌ・ドヌーヴフランソワーズ・ドルレアックは実の姉妹なので、そりゃ息があっているし、最高にチャーミング。今見るとさすがに化粧が濃いけどね。正直にリマスターし過ぎかな。


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