美女と液体人間 ★★★☆

美女と液体人間
1957 スコープサイズ 87分
DVD
脚本■木村武
撮影■小泉一 照明■西川鶴三
美術■北猛夫 音楽■佐藤勝
特技監督円谷英二
監督■本多猪四郎

■DVDには、渡辺邦彦、原文良、富岡素敬のインタビューが収録されており、貴重。特に本作は本編の照明効果が絶妙で、東宝映画とは思えない思い切った暗い照明が試みられている。特に第二竜神丸のあたりは顕著で、西川鶴三という照明技師のベテランが張り切って怪奇映画的な空間を演出しており、映像的には一番の見所。

■富岡素敬は、とにかく写るかどうかぎりぎりの暗い映像を狙っているので、増感に時間がかかり、早くラッシュを見せろと円谷英二に急かされたと語る。確かに、本作では綺麗に写ってなくても構わないという円谷英二と、写っていないと恥ずかしいという有川貞昌の間で意見の相違があったらしい。もともと円谷は劇映画のローキー撮影で鳴らしたキャメラマン出身だから、ほんとうは東宝特撮独特のベタベタな明かりは違和感があったのかもしれないな。まあ、東宝特撮は他の作品でも、ミニチュアのナイトシーンには、独特の濃淡のつけ方があって、”東宝の夜”とでもいうべき、ゴージャスな夜景が多々登場して、あれは東宝特撮の宝だと思うのだが。

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