リチャード３世
ミッドナイトステージ館 NHK BS2
2006年 東京グローブ座 子供のためのシェイクスピアカンパニー
原作■シェイクスピア 脚本・演出■山崎清介
出演■山崎清介、伊沢磨紀，福井貴一，佐藤誓，間宮啓行，彩乃木崇之，戸谷昌弘，明楽哲典，大内めぐみ，若松力
■シェイクスピアの演劇をちゃんと観た事がないので、正確ではないかもしれないが、非常にユニークな脚色、様式および演出だ。主人公の醜い左手が人面痩のようになっていて、腹話術の人形のように主人公のもうひとつの人格として喋るという脚色が、”子供のための”というスタンスをよく発揮しており、秀逸。原作ではせむしでびっこという設定を非常に上手く翻案している。この変更がラストにちゃんとテーマ性を獲得するのも凄い。★★★★でもいいくらい完成度が高い。
■通常の音楽ではなくハンドクラップ（拍手ですね）で場面転換やリズム感を醸成したり、役者たちが黒子も兼務していたりするのだが、その様式の完成度の高さは驚きだ。美術装置も、小学校で使われるような木製の机と椅子を黒子たちが適宜組み替えて作り上げるというシンプルかつ柔軟なもので、ほとんど黒バックの前で演じるようなものだが、ちゃんとそれで演劇が成立してしまう。
■脚本、演出、主演を務める山崎清介は尾形イッセーを精悍にした感じで、腹話術も含めて非常にカッコいい。怨念の塊りであるリチャード３世の悪を、ユーモアを交えながら（ここが大切）堂々と演じている。
