ミルク ★★★☆

MILK
2009 ヴィスタサイズ 128分
京都シネマ

Milk
■サンフランシスコの市政委員会に立候補して、ゲイとして初の公職に就いたハーヴェイ・ミルクの一念発起と、暗殺までの間の8年間を本人の独白を通して振り返るガス・ヴァン・サントの秀作。ショーン・ペンの芸の幅の広さを思い知らされる好演も見ごたえがある。
■後半はゲイの教師を解雇できるとした「提案6号」への国内を二分する反対闘争に集約してゆくが、ジョシュ・ブローリン演じる同僚委員のダン・ホワイトによる暗殺の部分は、その理由がよく分からない。単に気がふれたという話なのか(そうではないらしいが)、アイリッシュアメリカ人としての保守的な反発感情なのか、実際に真相が判然としないので、そのまま描いたということかもしれないが、劇映画としては構造が弱い気がする。
■しかし、40歳を前に何も誇るべきことをしていないとか、マイノリティは声を上げて自分の居場所を主張せよ(意訳)とか、非常に胸に突き刺さる独白や台詞が盛りだくさんで、特に若い世代にはぜひ観てほしい映画である。おっさんにとっても耳の痛いメッセージ映画であるが、ストレートに主張を盛り込みすぎているので底が浅いという批判もありうるだろう。それでも、マイノリティ差別に対する戦い方の典型例、成功例として非常に興味深い社会運動映画である。

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